FOUJITA マイヨール美術館
藤田嗣治の没後50年となる企画展が今週末15日まで開催です
これは見たほうがいいですよ。
FOUJITA マイヨール美術館
藤田嗣治没後50年の企画展で、藤田の生い立ちから主にパリを離れた1939年にスポットをあてつつ、戦後フランスに戻ったあとの晩年までを丁寧におっています。
特筆すべきこと
この展示に出品されている作品の大半が個人蔵でした。
中でも「The Lewis Collection」の所有する作品は状態も素晴らしく、いいものを持っていることがすぐわかりました。
The Lewis Collectionはマティスやピカソなどのコレクションで知られる世界的にも大変有名なものだそうです。
日本からは1つ貸し出されていました。
ただ、東京芸大が所有している自画像などは写真でしか出ておらず、なんで貸し出さなかったのか(打診がなかっただけかもですけど)ちょっと残念でした。
卒業制作で黒田清輝の好むものではなかったので評価されず。
当時の画壇の好みとは真逆でしたから文展という日本版サロンにも落選。
今の日本の原型既にありますね。
主な作品
1919年の作品
初めて見るようなサイン
日本語と洋画のミックス
顔の描き方がモディリアーニを彷彿されますが、藤田の隣室がモディリアーニだったそうで交流があったようです。
モディリアーニを描いた作品
いま見てもとてもモダンです。
世界を旅していた藤田ですが、根底にあるのは日本画だったり日本の景色だったかもしれません。
この作品は日本人コレクターから日本より貸し出されたもの
この絵は1925年のもの
顔がキューピーのような少女の作品と異なり、実際のモデルをそのままスケッチしたようです。乳白色を用いながらも背景の水色がとても美しい
こちらも個人蔵なのでもしかしたらモデルとなった子どもの子孫がお持ちなのかしら。
まとめ
空間構成、内容など、日本でずいぶん多くの藤田展を見てきましたが突出した素晴らしいものでした。この差はなんなのでしょうか。
このレベルの企画展は作品の貸出などの都合でおそらく無理でしょうから、日本で見られないから見ておけという書き方をしている紹介の仕方は正しいでしょう。
日本ですと、唯一と言っていいくらいの平野政吉と藤田が空間から作り上げた美術館をぶっ壊そうとするくらい(作品は既に移設済)藤田に対する日本の扱いはなんなんだろうと常々思います。
メディアなどの影響で藤田の展示はいまは結構入場者数を稼げる企画なのかあちこちでやっていますが、相変わらず日本からは捨てられた作家なのだと感じました。
彼の素晴らしさ、奥深さ、そうした本質をキュレーションされる日本人の方より海外の方の方がよく見ていらっしゃるようにすら感じます。
「絵描きは絵だけ描いて下さい。仲間喧嘩をしないで下さい。日本画壇は早く国際水準に到達して下さい」と語りフランスへ渡った藤田。
日本画壇だけでなく、これは今の日本人全体に言えるのではないでしょうか。
最後にマイヨール美術館は、彫刻家エドム・ブーシャルドンの屋敷だったそうで画家のマイヨールの作品も所蔵されています。
常設展自体は余程のマニアじゃない限り行くべきところではないなというのが正直な感想です。
美術館入口向かって左側に営業時間中だけ泉から水が出ています。
その水は以前水道敷設前はその水で周辺の水をまかなっていたそうです。
この入口の左側にあるカフェ用の入口の左にあります