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今日のパリ 今日のパン(パリのオジサン)

パリから日々の徒然を〜もうしばらく日本です〜

サヴォア邸

サヴォア邸です。

長いので目次つけました

 

 

外観

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横長の連続窓がやはり目を惹きます。ピロティとなった1階で2階が浮かんでいるように見えるということはあまり目を惹きませんでした。

それ以上に、丸柱と横方向の窓の四角形との対比が印象的でした。そして屋上部分の円形がより一層それを感じさせてくれました。

 

サヴォア邸で気をつけた方がいいこと

開く扉なのかそれとも鍵がかかっているのかわかりにくいので扉は全てチェックする勢いで確認した方が後からしまったと思わずすみますよ。

 

 ランドリールーム

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洗濯機がたぶんまだないと思うのでここで洗っていたのか?と思われるシンク。

モルタルで作られた深めの二層でした。大量に排水するためか床に開けた大きな穴へそれぞれのシンクから水を流すシステムでした。給水はお湯と水の2つを外配管で。配管が詰まったり更新する必要があれば取替えが容易なのがいいところ。

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方角は南を向いているから温室のようだったでしょうね。

移築して保存されている建物でたまに方角まで再現していないこともあるから、こうして現地で当時のまま保存されていることのありがたさを肌で感じました。眺めも素敵です。

 

リビング

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この段階で大きな2つの窓の片側が開くことに気づいていませんでした。

よくこんな大きなガラスを当時作れたものだと感心しました。

当時の家具とか再現でいいから置いてくれるとよかったな。

ネットの写真などでLCなどのイスが置いてあるのがありましたがAチェアーしかありませんでした。

 

キッチン

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キッチンの造作家具の扉を横スライドさせるための持ち手がとてもモダンでかつ安全面も考えいるようでした。

 

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白の大判のタイルを使ったキッチンのシンクなどは使い勝手もよさそうです。

 

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そして配膳のし易さを考えた奥に抜けるタイプになっていました。ここからアツアツを出し入れしていたのかな。

 

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窓が効果的で明るい空間になっていました。

 

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ここでも配管に目がいきました。排水の横のラインを上下方向の管へ流すのですが、上下方向の管が丸い柱の中に意匠的に埋め込まれていました。この柱は構造なのか、フェイクなのかわからないけどそういうところまで徹底していることが素晴らしい。

 

ゲストルーム

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トイレと洗面台を収納で隠して同じ室内にありました。

ただ天井まで完全に仕切っておらず、明かり取りのための天窓がありました。

こういうタイプだと場合によっては臭気が部屋に入ってきますよね。そういうところもここが別荘だから成立したんだろうと思いました。当時のものなのかはわかりませんが便器はイタリアのビデの便器のよう。お湯も水も出るタイプ。洗面台のデザインは昭和30年代に当時のTOTOが出していたものと少し似ていました。

 

ゲストと子どものための浴室

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ここにも同じトイレがありました。子ども部屋から直接出入りできるようになっていましたのでこのトイレは子どもが主に使ったのでしょうか。

 

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子ども部屋

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家具で空間を仕切られたタイプ。いまの建築でも取り入れられている原点を見たように感じました。

 

サヴォア夫妻の寝室

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ここもゲストルームのトイレと同じで別荘だからの思い切りの良さだと思います。

寝室と同じ空間にお風呂があり一体となっていたら蒸気が結構部屋に入ってきます。今建てられた住宅にもこうしたタイプを見ることがありますが、いざ暮らすと不便なことに上がってきますからよほどの人でないと受け入れられないと思います。

 

 

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浴室は埋め込みの水栓金具で蛇口をひねると浴槽の中に設けられた口からお湯が出る仕組みです。ここは出来るだけすっきり見せたかったのでしょうか、ゲストと子どものための浴室にあった水栓金具ではありませんでした。

 

サヴォア邸で作りつけのLC4 シェーズロングを発見

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写真でお気づきの方もあるでしょうが、タイルで作ったシェーズロングがありました。

ブログの記事で書いている人もあるかもしれませんが、サヴォア邸は1928年から1931年にかけて作られています。シェーズロングLC4が発表されたのは1929年。

どっちがアイディア先だったんでしょうね。そう思うと1人でワクワクしていました。フランス人はプール大好きで、パリ市内にも恐ろしい数のプールが今もあります。タイルの水色はもしかしたらプールを表しているのでしょうか。

 

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そしてもう1つ気づいたのが、ピロティを支える柱の意匠をこの部屋でまた見せていることです。バランス良く本当に美しい空間でした。

 

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コルビジェから施主であるサヴォア夫妻へ贈ったプレゼント的な美しさを感じたのがこの景色。寝室の扉を開け放つと階段のR、そしてリビングへと視線が一気に抜けていくのが感じられます。1番のポイントを置いたのはここだったかなと思いました。

 

寝室のさらに奥にあった夫人のための部屋に気づかず一旦戻りました。

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中庭に面した開口部のガラスはここは横に細長いタイプで外観の水平連続と同じリズムを感じました。でその先から見えたリビングの大きな窓のいわゆる納まりを確認していたところ左が開くのではと思って慌ててリビングへ

 

またリビングに戻りました

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やはりこの大きな窓は左へスライドすることができます。

左はFIX。ガラスの手前に渡されたバーは手すりではなく、ガラスを開け放つ時に誰か挟まれないようにするためのものだったかもしれませんね。よく当時こんな大きな窓を動かす重量車用の戸車があったものです。

 

屋上へ

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見る位置が変わるとまた魅力的な横長の細いガラスをはめ込んだFIX窓と階段のRを眺めながら屋上へ。

 

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遮熱のためか石を敷き詰めていました。そろそろ屋上防水が限界のようです。当時シート防水に変わる技術ってどうだったんだろうと観察するもわからず。(わかるはずないけど見てしまいました)

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今は敷地に隣接して高校が建っていますが、当時はその敷地も含めてのサヴォア邸だったそうです。迷い込んだ森の中に突如現れた見たこともない不思議な物体だったんでしょうね。

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屋上から中庭へは室内の二階へつながるリノリウム敷の廊下同様にゆったりとした勾配でした。意匠をあわせているんですね。

大きな窓とその奥の水平連続した窓のバランスが面白い。

大きな窓のFIX側の横に渡した手すりのような安全柵はもしかしたらコルビジェ 的になしにしたかったのかな、それとも窓の腰位置に合わせてあることから最初から頭にあったのか そんなことを考えるとガラスに激突しそうなので注意です。

 

リビング側(北から)南を見ます。

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ここは屋外のはずなのに南側だけ窓になっています。確かにこの方が奥行出るからと思ったんですがこれは後から。

 

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右に見えている開口部、上と下でデザインが変わっていることがわかります。

なぜ上は外へ張り出すようなデザインなのでしょうか。

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週末別荘らしくもしかしたら天気の良いあたたかな日は外でご飯でも食べたのでしょうか、作り付けのテーブルがありました。

 

中庭の窓になっている南側に扉がありました。何処かとつながっているようです。

そこで見落としに気づきました。あ、あの扉開いたのか?と思ってまたUターンしました。 

夫人のための部屋

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いわゆる額縁窓が印象的でした。

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そして中庭からそのまま入れたからわざわざUターンする必要がなかったのですが、私の解釈ではここと合わせるために奥行きを出す意味と合わせてここを窓にしたのだと思いました。連続性というキーワードを強く感じませんか。片側窓にしていなかったらこんな連続性は出ないように感じます。

 

その日のスタッフの方に少しお話しかけてみたところ、嬉しいハプニングがありました。この家の動線がスッとわかりました。こういう時代ですからネットにアップすることは避けますね。

 

感想

とにかく見所満載の家です。

パリにあるラ・ロッシュ邸も素晴らしいですがやはりサヴォア邸は別格でした。

 

パリからわずか1時間半ですからぜひ出かけてみてくださいね。

 

おまけ

お恥ずかしながらル・コルビュジェの本名ってシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ=グリというんですね。ピエール・ジャンヌレはいとこ。だからジャンヌレのデザインしたイスも今すごく注目されているんですね。