懐かし記憶
家人が買ってきていたパン。
もう40年以上前になるけど、近所にあった個人商店が何軒も入った公設市場のようなお店にあったパン屋さんに初めて並んだバゲット。
フランス人ってこんなパンを食べているんだと子供心に感動して母が買ってきてくれるのを楽しみにしていたなあ。
当時はなんの味もせず、美味しいというより、「フランス人が食べているものを食べている」ただそれだけで感動していたように思う。
パン屋といっても焼きたてを販売するお店ではなく、普通の食パンや菓子パンが並ぶような今でいうとスーパーのパンコーナーの陳列台に乗りきるくらいの小さなお店。
でも店主の女性の声や顔はしっかりと記憶に残っている。
それから月日が経ち、パリのモンジュへ通うようになり、渋谷のVIRONでバゲットを食べてようやく「美味しいかも」と思ったけどそこまでバゲットが美味しいとは思わなかった。
でもピシャールのバゲットは焼きたてをかじりながら帰る人の気持ちがわかるくらい美味しかった。そんなパンとずっと暮らした1年以上はある意味奇跡の時間。
ブルボンのお菓子。
これも小学生くらいかな、母が公設市場のようなところに入っていたお菓子屋で買ってきてくれたような。袋の左側を開けるとチョコ味のクリームが、右から開けるとコーヒー味のクリームというもの。
毎月お菓子にまわせるお金が少ないので買い控えていたのですが、何より大人になって久しぶりに食べたブルボンのお菓子が「よく子供のころ美味しいと思ったなあ」とすっかり贅沢になってしまった経験から「美味しくないかな」と思って控えていました。バターなどしっかりと使ったフランスのお菓子は「美味しい」のでついつい買ってしまいました。
今回久しぶりに食べましたが、これはこれで美味しいのかもと思いました。
どちらもバゲット、クッキーというものを日本の味に引き直していると思うのですが、日本は「エッセンス」を上手く抽出して近いものを作るのが上手だと思います。
しかしながら、いっときのスペインバルブームもですが、このバゲットも「似て非なるもの」と思いました。
もう少し「文化」という側面にも気を配ってくれるともっといいものができるんではないかしらと思います。