谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館 常設スペース
常設展は撮影できましたので写真とともに。
この手前左奥に階段があり、犀川沿いに降りることができます。
谷口吉生さんの設計らしいシンプルで開口部を少なくした美術館に必要な要素だけを抽出したかのようなデザイン。
迎賓館赤坂離宮別館 游心亭を模した広間は吉郎さんの設計。それに吉生さんが新たに足しています。
館内のスタッフの方が、杉の鴨居は赤坂では1本の木から作っているけど、ここは途中でついであることと吉郎さんの畳の縁の延長線上に吉生さんは石割りを合わせ一本の直線がいくつも走るデザインになっていると教えてくださいました。
広縁の板材は赤坂離宮に使ったものと同じ材料が工務店にあったそうです。
そして石の床の反対側はガラス張りの犀川越しに市内の景色を見張らせる作り。
屋外は水を湛えた作りになっていて、建物の境界が曖昧になる意匠。
そして植栽の映り込みが季節ごとに異なりそうで美しい。
豊田市美術館も似たように水を湛えていますので谷口吉生さんらしい作りでした。
どちらも水深は10センチ前後と浅く、この意匠が持つ意味を目線の高さを低くして見ることが叶いません。
しかしながら、片山津温泉まで足を伸ばすと湯船と窓外の柴山潟との連続性を通して空間の広がりを感じることができます。湯船に入ってほぼ水の高さから外を眺めると谷口さんが見ている目線の先を疑似体験できるもので、この水を湛えている空間の意味を実感として感じることができた場所でした。男女入れ替えで森の湯側だとその連続性が薄いので女性は奇数日、男性は偶数日に行ってみてください。
ちょっと残念だったのが季節ごとにどちらの空間の床の間のお軸や絵が交換されず同じものであったこと。せっかくなので季節ごとに変えてくれるといいな。