堀池典隆 パリ、アジェと100年の隙間 part3 展
ジャン=ウジェーヌ・アジェは1898年から1914年にかけてパリを撮った写真家です。
彼が撮った写真はフランス第三共和政下のパリの様子をとどめた貴重な記録でもあります。
パリ市内にある書籍を扱うお店には1900年頃のパリの写真を区ごとにまとめた本が売っています。例えばマレにあるLa Mouette rieuseさんではお店入ったすぐの左手においてあります。
1898年といえばオスマンによるパリ大改造が終わり30年くらい経つ頃で、少し街が落ちつきを取り戻した頃でしょう。アジェはそんなパリ市内をくまなく歩いて写真を撮り続けました。
人も映っているので、当時の服装などがわかります。
パリの建物はアジェの時代にあった建物が現在も残っています。
私の暮らすアパートは1904年の建物なので、アジェの時代には既に存在した建物になります。
アジェの写真はどこで撮ったのか分かるものが多く、その中で現存している建物を探し写真を撮りアジェの写真と重ねるというのが今回の堀池さんの作品でした。
その中の1点に20世紀初頭の人と、現在の人が重なる写真がありました。
20世紀初頭の人の感じ、これってなんか見覚えあるなと思い記憶をグルグルさせていたら「バンクシー」だと思いました。
たまたま実物を拝見する希少な機会を得ました。
バンクシーはアジェの影響を受けているのではないかと思います。
風刺をしているし、服装も今っぽいけど、人の置き方というものがアジェの写真と通じるものを感じます。
堀池さんが教えてくださいましたが、篠山紀信さん1977年にパリというタイトルの写真集を発表していてその中でアジェと同じ建物を撮っていると教えてくれました。
そういえば木村伊兵衛さんが1950年代のパリを撮影していますが、アジェと同じ建物はあるのか気になりました。
アジェという写真家が後世に与えた影響というものの大きさを感じることができた写真展でした。
名古屋にて2020年1月23日から26日までです。