コーム・ファーブルさんというルーブル美術館の学芸員
過去に書いたこの記事。
ドラクロワがいなかったら印象派はなかったというルーブル美術館の企画
この企画を考えた人はすごいと思ったけど誰が考えたのかまではわからずでした。
stay Homeの日本で暇なのでネット配信で何か見ようと思っていたら、
こんな番組がありました。2017年にフランスで放送されたものを2018年に日本で放映したようです。
この番組でドラクロワ展のことにも触れていて、この企画がコーム・ファーブルさんという学芸員によってされたことがわかりました。
番組で彼が世界中からドラクロワの作品を貸してもらえるよう手配していました。
サンポール寺院の作品はロウソクの煙で少し汚れているので展示に先立ってクリーニングを施してからこの展示に備えていたこともわかりました。
美術品に対する誇り高きフランスの姿勢は素晴らしいですね。
ネットで調べてみましたら、コーム・ファーブルさんは2018年に日本の国立新美術館にて開催された『ルーヴル美術館展 肖像芸術 ー人は人をどう表現してきたか』という展示の企画にも絡んでいてそれに合わせ来日され、見どころをプレス向けに話していました。
肖像芸術、人は人をどう表現してきたか なかなか興味深いテーマですね。
ダヴィットのナポレオンの戴冠式の絵はナポレオンを神のように称え描いています。
マリーアントワネットは史実のわがままさを感じさせるような描き方をしています。
依頼者にとって不都合な部分を隠すであろう肖像画。王様がいた時代の絵は実物より数倍イケメンになっているとも言います。今でいうと北朝鮮の将軍様の絵はまさにそんな一枚でしょうね。
恐らくそんな誰もが思いつくことではなく、もっと生々しい側面にスポットを当てていたのかしら。ルーブル美術館のドラクロワ展での企画意図から考えるともっともっと奥を見ているような気がしました。
最後に、ファーブルさんは単なる企画屋ではなく、ちゃんと2017年まだ計画の段階から自らメディアに登場して「来年ドラクロワの大規模な回顧展やりまっせ」とアピールして、2018年には「ルーブル美術館でドラクロワの大規模な回顧展やっているから日本から見にきてね」としっかり「営業」してと「プロモーター」としても高い手腕を発揮していますね。さすがです。
日本とフランスの学芸員を単純に比較することはできないけど、ことフランスにおける芸術が市民生活に溶け込んでいることからするとそのポジションも当然ことなりますよね。芸術家という仕事が仕事として認知され、一定の評価を得ていることも大きな違いでしょうね。